どんなに歌を歌っても想いを伝えようとしても
その声が仲間に届かない52ヘルツの周波数で鳴くクジラ。
主人公のキナコと彼女が52と名付けた少年を
そのクジラに投影した物語。
自分を救ってくれた心から大切に想う人を亡くしたキナコが
52に過去の自分を重ね合わせ懸命に彼を守ろうとする姿と
52がキナコに少しずつ心を開いていく様子に
心と目頭が熱くなった。
世界のどこかに必ず声が届く人がいる。
耳を傾けて助けてくれる人がいる。
そんな明るい未来を示してくれる結末に救われた気がした。
どんなに強がっても、どんなに心を閉ざしても
やはり人間は誰かと繋がっていないと
本当の意味で生きていけないのだと思う。
「心の番」という言葉がとても印象的だった。