殺されてしまった私視点で
私の死体が隠蔽される様が語られるシュールな内容。
殺人と死体隠蔽ということの重大さを
ついつい忘れさせるような愛らしい語り口。
いたって冷静な健君、お兄ちゃんが大好きな弥生ちゃん、
どこか妖しい雰囲気の緑さん。
田園風景、祭り、花火といったどこか昭和の夏を
感じさせる風景の描写。
すべてが絶妙にバランスがとれていて、
どんどん物語に引き込まれてしまった。
併せて収録されている「優子」の不穏さ危うさもとても印象的で、
語り手を変えるまでミスリードさせられていることに全く気が付かなかった。